「派遣」という雇用形態自体のイメージが悪いため、派遣エンジニアという働き方に対してもあまりよく思わない人もいるかもしれません。
ただし、実際には派遣エンジニアにも多くのメリットがあり、派遣エンジニアの働き方が向いているかどうかは人それぞれ異なります。当然デメリットもあるので、働く上で何を大切にしたいかが重要です。
元派遣エンジニアの僕が、派遣エンジニアの実際の働き方や給料、派遣エンジニアからそれ以降のキャリアプランについて解説します。
派遣エンジニアの実態について
派遣エンジニアの種類
まず、派遣エンジニアの働き方を語る上で外せないのが派遣形態の種類。
実は派遣エンジニアには、
- 常用型派遣
- 登録型派遣
の2種類の派遣形態が存在しています。
ざっくりと2者の違いを説明すると、雇用形態と派遣切れになった際の対応の違いが挙げられます。
常用型派遣について
常用型派遣は正社員として派遣会社に所属しながら、各就業先へ派遣されます。
常用型派遣でのエンジニアを確保したい企業は、長期間働いて欲しいという意思を持っている場合が多いので、派遣といえども比較的長く働けることが多いです。
大きなメリットとしては、参画終了して次の就業先への派遣までに空白期間が生まれる場合でも雇用関係は継続しているため、だいたい収入の80%ほどを保障として支払ってもらえます。派遣は就業先の都合で急に契約満了になることもあるので、そんな場面に直面しても安心ですね。
登録型派遣について
登録型派遣は、正社員としての雇用にはならずに就業先へ派遣されます。正社員という縛りがないため、就業先は自分自身の意思で選べます。
契約としては、派遣会社と派遣先企業の間での契約期間のみ派遣会社と契約を結ぶことになります。正社員ではないものの、厚生年金や雇用保険、社会保険に加入することができるので正社員と大きな差はありません。
しかし、派遣先との契約が満了になった場合には次の就業先を見つけるまで、常用型派遣のような金銭面でのサポートはありません。ただ、派遣会社はどこも案件過多な状況なので、仕事がしばらく見つからないということにはまずないでしょう。
また、社員ではないので、就業先を変更したいとかそもそも派遣エンジニアをやめたいといった際にはすんなりと対応してもらえます。
派遣エンジニアの給料事情
僕自身の話をすると、ほぼ未経験の状態から派遣エンジニアになりましたが年収は300万円台前半でした。新卒や未経験からエンジニアで転職した場合、だいたい年収300万円台が相場なので特に派遣だから低いといったことはないですし、むしろ少し多いぐらいかもしれません。
派遣エンジニアが正社員エンジニアと大きく異なることは、固定給ではなく時給であること。時給なので出勤日が多い月(祝日や土日が少ない月)は給料も増えますし、そうではない月は減ってしまいます。しっかりと働いた時間分の給与をもらうことができるのはメリットですね。
平均年収ですが、一般的に派遣エンジニアの平均時給は約2200円ほどというデータがあるので、フルタイムで働くと月収は約35万円、年収は約420万円ほどになりますね。
残業代の基準も正社員と同じで、勤務時間が1日8時間以上を超えると時給の1.25倍の額が支給されます。派遣でも社会保険が適用されるので年金や健康保険料も給与から天引きされます。
派遣エンジニアの給料事情については以下記事で詳しく紹介しています。
派遣エンジニアの勤務形態
派遣エンジニアの勤務形態は職場によってかなり異なります。
なぜなら、派遣エンジニアの就業先には大企業からベンチャー企業、業界で見ても金融系から教育系やサービス系まであり、各企業ごとのルールに則った形で働くことになるからです。
そのため、服装もスーツのところもあれば私服のところもありますし、勤務時間も9時出勤のところもあれば、10時出勤のところもあります。
僕の派遣エンジニア時代の勤務スケジュールは以下になります。
10:30 朝礼・チームミーティング
13:00~14:00 休憩
19:00 退勤
一日の流れとしては派遣だから何か特殊だということもなく、普通の会社員とも変わらないと思います。
服装は私服OKでしたし、残業も全くなくてかなりホワイトな職場でした。
むしろ、プロパー社員(企業が直接採用した社員)に課せられていた掃除や残業をする必要がなかったので、派遣で働いていた自分の方が負担は少なかったかもしれません。プロパー社員の方々も派遣社員の働き方を理解しているので、派遣だからといって何か嫌な思いをすることもありませんでした。
プロパー社員との間に壁を感じたり、参加するミーティングの数がプロパー社員より少なかったりといったことはありましたが、特に不自由なく仕事できていましたね。
派遣エンジニアの仕事はきつい?
派遣エンジニアの仕事は普通の正社員エンジニアと変わらない場合が多いです。責任の重い仕事を任されなかったり、顧客との打ち合わせなどの業務を任されないことがあったり、全社会議のようなチームを越えた会議への参加する必要がなかったりといったことはあります。
コミュニケーションを取る機会がプロパーの社員と比べると少ない傾向にあるので、コミュニケーション下手な人にとっては負担が少なく感じるかもしれませんね。
仕事する上で最もきつさを感じることは「残業」だと思いますが、残業はもちろんないことはないです。ただ、求人に目安の残業時間が記載してあるので残業がどれぐらいあるかは事前に知ることができますし、残業ゼロの求人も結構あります。
また、派遣先との間に派遣会社が入っているため、法外な残業やサービス残業を強いられることもありません。派遣エンジニアがブラックな環境で働く可能性は限りなく低いでしょう。
派遣エンジニアには正社員エンジニアと違って契約期間があるので、いつ契約切れになるか分からないという不安的なきつさはあるかもしれませんね。
一つのプロジェクトでの人員補充のような募集もあれば、逆に長期的に働ける人を求めているものもあります。それらはたいてい案件ごとに長期前提のものかどうかが記載してあるので、確認したうえで働くようにすれば不安も軽くなります。
派遣エンジニアは経験を積むのに最適
派遣エンジニアは正社員エンジニアに比べて参画するまでのハードルが低く、それでいて正社員とあまり変わらない働き方ができることが魅力です。派遣会社が労働者を守ってくれているのでブラックな職場で働くことになる可能性は低いですし、人間関係や激務に気を取られることなくスキルアップに集中することができます。
派遣エンジニアからスキルアップして正社員として転職したり、フリーランスエンジニアになったりと次のキャリアの選択肢も多いですし、ずっと派遣エンジニアとして働く気がなくてもまずは実務経験を積み上げるために派遣で働くのはありだと思います。僕もそのつもりで派遣エンジニアになり、正社員に転職して、さらにフリーランスエンジニアになりました。
正社員にこだわって転職活動に時間をかけすぎたり、正社員にこだわった結果ブラック企業に入社してしまうぐらいなら、派遣エンジニアですぐに働きやすい案件を探してみた方が良いでしょう。